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RFEM2400/LPR2430ERAはディジタル無線機で、多くのセンサーはアナログ出力です。従って、RFEM2400/LPR2430ERAを用いてアナログデータを転送するにはADコンバータを用いてセンサーの電圧出力を数値変換する必要があります。一般的なADコンバータの入力制限は0~+3Vであることが多く、計りたいアナログ出力をADコンバータの入力制限に合わせる回路が必要です。
ここではADコンバータを用いたアナログデータの収集に係わる回路についてご紹介します。尚、センサーによってはSPIやI2Cのディジタルインターフェースを装備しているものもありますが、RFEM2400/LPR2430ERAでは直接インターフェースをとることはできません。方法としてマイコンを用いて、センサーからデータを収集し、データの文字列を作成して、その文字列をRFEM2400/LPR2430ERAのUARTに入力する方法がありますが、ここでは紹介致しません。
ここでは熱電対用ハードウエアについて紹介します。K型熱電対は温度測定では一般的に使われるセンサーです。その測定範囲は±600度にも及ぶ為、広い範囲の測定が可能です。しかもある程度温度直線性に優れていて、一般的な温度測定には向いています。反面、JISで規格が統一されているにも係わらず個体差や形状によるばらつきが大きく、細かい精度を保証する測定には向いていません。
熱電対は2つの金属を接合させた部分に起電力(電位差)が発生するのを測定して温度に置き換える方法を取ります。起電力は測定点の温度に影響を受けるため、熱電対の端子をそのままADコンバータの入力口に接続しても温度は測れません。そこで氷点比較器というICを用います。
氷点比較器の一例として、アナログデバイセーズ社のDIPパッケージではAD595AQ、SOPパッケージではAD597があります。これらのICは10mV/度で直線的に測定点の温度を出力してくれるのでサーミスタの様にテーブルを作成して温度補正必要はありません。この出力はアナログ出力なのでRFEM2400/LPR2430ERAのADコンバータ端子に直接入力できます。
電源系は5V系ICなので+電源端子とグランド端子間は最低でも+5Vが必要です。-電源端子も装備している為、実質上の温度測定範囲はー500度~+500度です。しかし、注意が必要なのはADコンバータの入力許容範囲です。通常ではー0.5Vから+3.3V程度ですので、この範囲を超えるとADコンバータが破損する危険性があります。そこで必要となるのがオペアンプを使って、測定範囲を0V~+3Vに合わせ込む必要があります。この方法は後述致します。
また、AD595AQ又はAD597に±5Vを印加し、熱電対を取り付けないで出力を測定した場合、その電圧はー5Vです。-5VがADコンバータの入力端子に印加されるとADコンバータが破壊されますので保護回路が必要になります。これも後述致します。
氷点比較器が5V系のICであるため、回路全体が5V系回路になりますが、前述したようにADコンバータの入力範囲は+3.3Vまでです。従って、ここで用いるオペアンプは電圧抑制の効果を狙って片電源オペアンプを使用しました。片電源オペアンプに±5Vを印加した場合、+側の最大出力が概ね+3.7V前後になります。これであれば仮に後述の保護回路が壊れていても、辛うじてADコンバータを壊すことは避けられます。温度測定は高い応答性を求められないので片電源オペアンプは実験機用ではDIPパッケージのフェアチャイルド社のLM358Nを表面実装用はSSOPパッケージのNJM2904Vを用いました。何れも8ピンパッケージの中に2個のオペアンプが入っているICです。使い方はオペアンプの基本に忠実に設計致しました。
第1オペアンプのー入力端子には10kの抵抗を介して氷点比較器の出力を+入力端子には温度オフセット電圧を印加しました。利得を1とする為にマイナスフィードバック用抵抗は10kを使用しました。抵抗種は制度の良い金属酸化皮膜型を用いましたが、それでも±5%の誤差があるので、温度補正はパソコン側で行います。温度オフセット電圧は当初は±5V間に抵抗を2個直列に接続して2抵抗間の電圧をオフセット電圧として使っていましたが、通常のカーボン抵抗値の誤差が2個で±10%、金属皮膜抵抗でも±5%あり、誤差が大きくリファレンスとして使えません。そこで精密抵抗(±1%以下)を使うことにしました。
第2オペアンプは単にインバータで、第1アンプでマイナス側にひっくり返った電圧をプラス側に戻す役目です。また、電圧リミッタとしても働き、最高出力電圧が+3.7Vです。
RFEM2400/LPR2430ERAはADコンバータ入力が3回路ありますので、3回路同時に保護できる回路を検討しました。その結果、オーソドックスな方法ですがダイオードでADコンバータ入力ラインをプルアップとプルダウンで吊る方法が良いとの結論に至りました。プルアップ側の電源はRFEM2400/LPR2430ERAにADC_Referenceと言う端子が出ており、+3Vを5mAまで供給できるのでこれを用いました。
この保護回路の効果を実際に実験を行って試してみました。方法はオペアンプの入力に±5Vを印加して無線でADコンバータの値を読む方法です。+5V印加時は読み値が最大値の2048、-5V印加時は読み値が最小値の0でした。この状態を10分間継続しましたが、素子の発熱等はありませんでした。
AD595CQ(AD597)はひとつのICで熱電対の制御を行ってくれる優れもののICです。しかし次の点を注意して使う必要があります。
①熱電対を繋がないで可動させると、その出力電圧はマイナス側の電源電圧に近い電圧になる。
②室温を測定、つまり熱電対の起電力が殆ど0Vの時は、ICの中の温度計の値が出力されるので、ICが密閉されて空間にあると、出力電圧が上昇する。→常温に近い環境にする
熱電対はその測定範囲が広く±600度にも及びます。しかし、室温を測定する場合は特別な注意が必要となります。(別の温度センサーを使う事をお勧めします)
ここでは半導体センサー単体をRFEM2400/LPR2430ERAのADコンバーに接続して温度を取得する方法とディジタルインターフェースを持った温湿度センサーをマイコンを介してデータを取る方法に付いてご紹介致します。先ずは簡単な半導体センサーからご紹介致します。
半導体温度センサーはリニアリティーが良く、小型で、価格も安いと言う特徴がある反面、測定レンジが狭く、室温を中心とした温度範囲の測定に向いています。センサー出力はアナログ形式のものとディジタル形式のものとがあります。アナログ出力のものは出力電圧レンジもADコンバータに直接入力できる範囲です。また、出力電圧が温度校正されたものになっているものが多く、直読できる利点があります。従って、半導体温度センサーは熱電対の補完センサーとして使うと便利です。
この形式の温度センサーは出力が電圧なので電圧変動をできるだけ少なくする為にADコンバータの近くに置くことが最良です。下手にアナログの増幅回路などを使うと部品定数の誤差から当初の出力電圧から変わってしまうことが考えられます。反面、RFEM2400/LPR2430ERAの近傍に配置すると素子の発熱で正確な温度を測定できません。
工事中