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子機のハードウエア設計・開発支援

RFEM21400/LPR2430ERAは無線ネットワークを開発する際に無線子機はデータを収集したいターゲットの近くに付帯させ、センサーをそのターゲットに挿入してその値を取得するのが無線子機の主な機能です。同様にパソコンから親機を経由して送られて来た命令に従って、ターゲットを操作することも重要な機能です。次のことを加味しながら子機の設計方法をご紹介致します。

①可変入力電圧の電源回路 → ACアダプターや電池を電源として使用

②多種類に渡るセンサーを使用 → 直流型と交流型センサーに対応

③アナログ回路と保護回路

子機も親機同様、実験や評価用にユニバーサル基板を用いた回路、製品化する為のPC基板化のノウハウに付いてご紹介致します。

ユニバーサル基板を用いた子機の開発

 子機も親機と同様ユニバーサル基板を使って実験機を作ることができます。子機を作成する場合はデータを収集する為の手段、例えばGPIO,UART,ADCなどがRFEM2400/LPR2430ERAには標準装備されていますので、物理値センサー、例えば温度センサー、圧力センサー、加速度センサー等のアナログ入力、タッチセンサーの様なディジタルセンサー等のセンサー入力用の周辺機器を付加して、センサーネットワーク用子機とする方法に付いてご説明します。また、マイコンで制御される外部入出力をUARTで転送する子機としても子機の応用分野についてもご説明致します。

 RFEM2400/LPR2430ERAに搭載されているUARTは送信文字数に制限が御座いませんので、電波法が許可する範囲で長い文字列の送信が可能です。

親機と子機の違い

子機(左2台)と親機(右)
子機(左2台)と親機(右)

 RFEM2400/LPR2430ERAのハードウエアについて親機と子機は同じものを使用します。内部レジスタの設定を変えるだけで親機、ルータ(ワンホップのみ)、子機に設定するすることが可能です。しかし使用上次の点が異なりますので予めご留意ください。

①親機はパソコンからUSB経由で内部レジスタの変更が可能ですが、子機の場合はパソコンからUSB経由で親機、親機から無線経由で子機のレジスタを変更する方法を取ります。従って、子機のチャンネルリスト設定を間違えると子機との通信ができなくなります。

②親機は常にマスター、子機は常にスレーブとして機能します。従って、子機は常に親機から送信された命令に対して返信し、親機に対して命令を出すことはありません。但し、GPIO、ADC、タイマー等で割込み設定がされていた場合は子機が自発的に所定の書式でデータを送信ります。送り先は子機側の設定により親機(アドレス0X00)でも他の子機アドレス>0X00)でも送ることができます。

③親機はパソコンから受けた命令には必ずパソコンに返信します。子機との通信ができない場合はタイムアウト理由を返信します。

子機の構造

 左図はユニバーサル基板と既存のプラスチックボックスを使用して作成した子機の外観です。電源は外部ACアダプターを使用することを前提に裏面には外形φ5.5mm、内径φ2.1mmの電源コネクタが配置されています。上部には熱電対の端子を固定するターミナルが2個(写真左が白、右が赤)取り付けられています。プラスチックボックスの裏面には磁石が4個固定されており、子機を測定対象に磁石で貼り付ける方法を取っています。この子機は電源端子を下に、立てて使用するここが想定されています。内部の様子は次のフォトギャラリーを参照してください。 

子機固定用の磁石について

子機を固定する為の磁石の配置
子機を固定する為の磁石の配置

 子機の固定方法は幾つか考えられますが、取り外しが簡単にできて、ある程度の強度を持って固定できるのは磁石です。プラスチックボックスの4隅に真ん中に穴の明いた磁石を装着しました。磁石と聞くと無線や電源に使われているインダクターに影響を及ぼす懸念がありましたが、実験の結果影響はない事が確認されました。

 磁石では固定できない木材やプラスチックには磁石の床面に両面テープをはり、固定しました。一時しのぎですが、磁石の床面が充分大きいので子機を支えるのには充分でした

可変入力電圧電源回路について

可変入力電圧回路
可変入力電圧回路

 親機はUSB回路からセルフパワーで+5Vの電源を得ていましたが、子機は外部から電源が供給されないと稼動しません。また、屋外で使用する場合などは安定したAC電源があるとは限りませんので乾電池やACアダプターなど様々な種類の外部電源を使用することになります。その為、入力電圧が一定でない事が想定されます。

 一方、マイコンを基本とした回路は一般的に+3.3Vで稼動します。しかし、センサー周りの古いアナログ回路用の回路は+5V稼動が一般的です。従って、子機の電源回路としてお勧めする方式は昇圧回路を用いて外部電源電圧を+5Vに昇圧し、回路全体は+5V設計にする。しかし、マイコン周りはLDOを用いて+3.3Vに降圧して、電源を供給する。(信号の電圧変換に付いては別途記載致します)

 具体的な方法としては左の図に示す昇圧回路を用いました。この例ではHoltex社のHT-7750Aを使用しております。変換効率は+2.5V入力で約85%(カタログ値)です。

HT7750Aと周辺の回路
HT7750Aと周辺の回路

 HT-7750Aは3種類のパッケージで販売されています。試作にはTO92型をPC基板用にはSOT23-5又はSOT23-3を用います。回路はHT-770Aを含めて5部品で構成されます。先ずは入力側の電解コンデンサーですが、実際に使用電流量を100mA未満と見込んで33μF、50V仕様のものを使いました。次にインダクタですが、仕様では30μH以上のものを使うことになっていますが、マイクロインダクタは100μH前後までは同じ大きさなので、ここでは100μHを使いました。ショットキーバリアダイオードは小型のRB160M-30TRを使用しました。出力側の電解コンデンサーにも33μF,50Vを使用しました。この回路で乾電池3本(4.5V)、乾電池4本(6V)、充電電池3本(3.6V)、充電電池4本(4.8V)、ACダプター(5V)で実験致しましたが、何れも5Vを得る事に成功致しました。

負の電圧を作る電源回路について

ICL7660CPAを用いた負電圧生成回路
ICL7660CPAを用いた負電圧生成回路

 センサー回路には負の電圧を求められるものがあります。例えば、熱電対で温度を測る場合はマイナスからプラスの温度があるため、氷点比較器AD797AQ等の素子は±電源を求められます。負の電圧を作るのには様々な方法がありますが、手っ取り早い方法としてチャージポンプを使う方法です。負の電圧を作る専用のICとして例えばICL7660があります。この素子は入力+電圧を出力で同じ電圧の負の電圧を供給してくれる素子です。つまり、+5Vを供給すると-5Vが出力されます。使用する部品は素子以外にコンデンサー2個です。

 この素子で負の電圧を作る場合の注意点は負の電圧の使用量に比例して出力電圧が上がることです。従って、負の電圧の使用量が少ない場合、例えば2~3個のオペアンプを動かす程度、であれば問題はありませんが、大電流を消費する場合には使えません。負の電流量を増やす一時解決策としてコンデンサーの容量を増やすことです。データシートでは10μFとなっていますが、例えば47μFにすると少しですが、電圧変化がゆるくなります。

ADコンバータ用の保護回路

ダイオードアレーを使用したADコンバー用保護回路の一例
ダイオードアレーを使用したADコンバー用保護回路の一例

 RFEM2400/LPR2430ERAの入力端子は電源を除いて3.3V系です。従って、5V系にICからこれらの入力端子を駆動すると電圧が許容値を超えてしまいます。そこで保護回路が必要となります。特に保護回路が必要なのがADコンバータです。左の回路では各ADコンバーターの入力端子をダイオードアレーで吊ってあります。プラス電位側のダイオードはADC_REFに接続してあり、マイナス電位側のダイオードはグランドに接地してあります。ADC_REFは+3.3V、5mAの電源ソースになっておりますので入力電圧が+3.5Vを超えるとADC_REF側に電流が流れ始めます。同様に入力電圧がー0.5Vを下回るとグランド側から電流が流れます。この様にしてADコンバータの端子電圧が制限値内に保持されます。

 この回路は熱電対用氷点比較器素子AD595CQ(AD597)を使う時に便利です。AD595CQは電源電圧が±5Vです。従って、出力電圧は+5V~ー5V近辺の電位で変化します。当然、ADコンバータの入力制限を越えます。特に熱電対を接続しないでAD595CQを動かした場合、出力電圧はー5V近くになります。従って、保護回路が無いとADコンバータが破壊されてしまいます。

内臓2次電池と電池ボックス

単3電池3個用電池ボックス
単3電池3個用電池ボックス

 内蔵用2次電池、例えばリチウムイオン2次電池は充電量が多く、小型でIEEE802.15.4機器には最適な電池です。無線モジュールは送信時に大きな電流を消費し、受信時もいつ電波に乗って情報が来るのか判らない為、送信時以外は受信し続ける必要があります。

 リチウムイオン2次電池の問題は規制が緩和されたとは言え、未だに輸送に制限が加えられていたり、取扱が要注意であったり、過充電保護回路が必要であり、乾電池のように簡単に使うことが難しい一面を持っています。

 充電電池は使用すれば必ず充電が必要です。充電電池を装置に内蔵してしまうと充電機構が問題になります。そこで充電電池の代わりに電池ボックスをお勧めします。電池ボックスは単3乾電池が3本又は4本入るタイプのものが使い勝手が良いです。

 電池交換のタイミング

 RFEM2400/LPR2430ERAを子機として使う設定で、電源を一度切って再復帰させた場合、例えば電池ボックスを交換する為に数秒間電源が落ちた場合、復帰後の子機は親機の命令に対し電源切断前の状態を維持して飯能します。これは子機としての設定が不揮発性メモリーの中に保存されている為です。従って、電源の再投入後に子機は正常に作動します。但し、親機からの命令が子機の電源遮断中や電源投入後初期化中に来た場合は返信できないので親機がタイムアウトメッセージをコンピュータに返信します。(親機の場合は一度電源が落ちると再設定の必要があります)

状態表示用のLEDについて

LED用回路
LED用回路

 子機に状態表示用のLEDを付けておくと子機の通信状態や電源状態を確認するのに役立ちます。左が接続図です。特に子機が電池駆動で使用されている場合は電池の消耗をLEDの点灯状況で把握できるので効果が大きいです。また、稼働状況をLEDの点灯で把握できますので、運用面でも有効です。従って、次の3種類のLED配置をお勧め致します。しかし、LEDを常時点灯させておくと電池の消耗が心配になりますのでスイッチを設けておくことをお勧め致します。電流制限用抵抗の数値ですが、高輝度型のLEDを使うと1kΩでも充分明るいことが判りました。但し、PC基板に展開してチップLEDを使用する場合は抵抗を330Ωにすると適度の明るさになります。

 

 電源電圧用LED

 電源電圧+5Vが印加されているかを見る為のLEDです。このLEDの接続場所はHT-7750Aの出力側です。色は黄緑色のものを使用しました。場所は写真右側のLEDです。大きさはφ3mmのものを用いています。右側のジャンパー(緑色)はLEDを点灯/消灯を決めるためのスイッチです。

 

リンク表示用LED
リンク表示用LED

 リンク状態表示用LED

 子機が親機に認識されている、つまり親機とリンクしていることを示すLEDです。場所は左写真中央です。このLEDが点灯していないと親機はこの子機を認識していないことになり、子機は親機と通信できません。この状態は親機が通信県内にいないか、単に電源が入っていないかの時に発生します。たまにですが、混信や通信の混乱で親機が対応しきれなくなった場合もリンクが切れます。このLEDの色は黄色を用いました。大きさはφ3mm以上のものが見易いです。接続はRFEM2400/LPR2430ERAの第3番ピンに1kΩの抵抗を介してグランド間に接続します。

送信状態表示用LED
送信状態表示用LED

 送信状態表示用LED

 RFEM2400/LPR2430ERAが送信状態にあることを示すLEDです。点灯時間はほんの一瞬です。親機と子機の両方にこのLEDが装着されている場合は親機の送信に呼応して子機が返信するのが確認できます。このLEDは親機からのポーリング信号返信時と子機からの割込み送信時に光ります。子機からの割り込み送信は親機がビーズイの場合、4回まで繰り返されますが、それでも親機が子機からの信号を取らない場合、子機がそれ以降の送信を停止する場合があります。この様な異常を検知するためにこのLEDが使われます。このLEDは赤色のものを使用しました。大きさはφ3mm、接続はRFEM2400/LPR2430ERAの第2ピンに1kΩの抵抗を介して、グランドとの間に接続します。場所は左写真の左端です。

RFEM2400/LPR2430ERAのUART

 UARTも割込み送信のソースとして用いられます。従って、UARTの入力側であるRXDがオープンになっているとノイズを拾い、これが割込みソースとなって、RFEM2400/LPR2430ERAが割込み送信を繰り返し、正常な通信ができなくなります。そこでこの現象を防ぐ為にRXDを+3.3Vで吊る必要があります。簡単な解決策としてRXD端子を25番ピン(ADC_VDD)で吊ることです。ADC_VDDは+3.3V、5mAまで許容できます。しかし、他の目的でADC_VDDを使っている場合には使用電流量に注意が必要です。出力側のTXDに付いてはオープンにしてください。+3.3Vや0Vに吊るとRFEM2400/LPR2430ERAが正常に動作しない場合が検出されました。

PC基板で作る無線子機

 親機同様、子機をPC基板化する場合にもユニバーサル基板で作成した条件をそのままPC基板に当てはめることは難しいです。PC基板の場合、集積度を上げる為、素子のパッケージを小さくする傾向があり、その為電波発射に係わる環境、つまりVSWRが変化します。無線親機でも述べましたが、PC基板のグランドプレーンの形状と場所、大きな金属の塊をアンテナに近づけない等の配慮に加えて子機の場合は電源回路や測定回路が付加されますので、これらの回路にも注意が必要です。

電波の飛びを考慮した素子選択例

 小型パッケージ半導体の使用

 半導体素子は出来る限り小型パッケージ、例えばSSOPやTSOPパッケージ、のものをお勧めします。その理由は基板全体を小型化できるのに加えて、素子の高さが低いので実装した時にアンテナより上に素子が出ないことです。この為、アンテナに与える影響が軽減されるので電波の飛びに対しても影響が少なくてすみます。

 積層セラミックコンデンサーの使用

 電源回路等はは電解コンデンサーが用いられますが、+5V電源で総電流量が200mA以下の回路では電源回路にも積層セラミックコンデンサー(MLCC)が実験で確認できました。近年、MLCCは100μF,6.3V耐圧でも3225の大きさのものが市販されています。表面実装用電解コンデンサーも市販されていますが、MLCCを使う事で電解コンデンサーの高さのある金属ケースを削減できることが電波の飛びに影響を少なくするのに効果があります。当社で実験した範囲の話ですが、特にコンデンサー種に指定が無い場合、コンデンサーは積層セラミックコンデンサーで置き換えられるようです。

偏波面の整合をとる

 偏波面とは電波が飛ぶ時の電磁波の向きのことです。電波は電界面と磁界面が垂直に交差する波です。偏波面は電界面が地表と水平なら水平偏波、垂直なら垂直偏波と表します。送信側と受信側のアンテナが同じ偏波特性であれば受信強度は増大します。しかし偏波面はアンテナの配置で変わる為、アンテナの方向を合わせる事が必要です。RFEM2400/LPR2430ERAはチップアンテナですが、その偏波特性はパッドの並びに対して垂直です。

 簡単に言えば送信機(ここでは親機の無線モジュール)と受信機(ここでは子機の無線モジュール)の置く方向を同じにすることです。親機でRFEM2400/LPR2430ERAを横置きに配置したら子機でも横置きにするといった感じです。その為には親機と子機の配置される場所を考えて設計することが重要です。

子機基板のグランドプレーン形状

 左図は当社の製品が採用しているグランドプレーン形状です。後r何の様にアンテナ直下のグランド金属が殆ど削除されていることにお気付きでしょう。本来であればRFEM2400/LPR2430ERAの向きは基板長手方向に対して平行で、アンテナがセンサー測定回路から一番遠くなることが理想ですが、外装形状との兼ね合いで横置きになりました。

当社製品の子機例

 左図は上に親機、下に子機を示した図です。親機はUSBケーブルでコンピュータに接続されていて、セルフパワーで電源の供給を受けています。子機は5VのACアダプターから電源供給を受け、親機とリンクしているのでリンクを示す黄色LEDが点灯しています。後はセンサーを繋げばハードウエアの完成です。

 ハードウエアが完成しただけでは無線ネットワークは稼動しません。次に開発するべき内容は当社のRFEM2400/LPR2430ERAが搭載するRFM社製通信プロトコルと通信ファームウエアを使ってネットワークソフトウエアを構築することです。それには先ずは通信プロトコルと通信ファームウエアを理解するところから始めましょう。

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