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PDAT型無線ネットワークのコンセプト

 無線センサーネットワークとは聞き慣れない言葉ですが、近年携帯電話技術の普及と共に生まれてきた概念で、センサーを搭載した無線端末がデータを収集し、一箇所(無線親機)にデータを転送して、それをパソコンで処理するシステムの事です。センサーは目的とするアプリケーションに因って異なりますが、これらを総称して無線センサーネットワークと呼びます。

通常、無線通信にはデータを送る側、つまり送信側とデータを受ける側、つまり受信側が必要です。通常の無線通信は送信側1に対して受信側が1です。しかし、PDAT1型の無線通信ではデータの受信側が1でデータ送信側が複数になります。この方式を受信側を真ん中に送信側が取り囲む様になるので「星形無線ネットワーク」と呼びます。特定のネットワークに所属する無線機はそのネットワーク内で判る識別番号(アドレス)を持っています。左図の中央にあるのが無線親機で識別番号は00です。その周辺にある測定子機は無線親機に認識された順番に01から番号が振られ、最大255台まで識別が可能です。従って、無線親機は特定の測定子機に命令を送ることができます。つまり無線親機に指名された測定子機のみが無線親機から受領した命令を実行し、その結果を返信します。

製品開発の始まりは?

 ここでPDATシリーズの製品が何を目的に無線ネットワークを用い、何をしようとしているのかを説明します。ここでのキーワードは製造のトレーサビリティーです。

1.製造データ保管の重要さ

 重要だと認識しつつも日々製造データを手で取るのは大変な作業

過去の製造データは製品異常が発生したり、客先からクレームが来た場合に役立ちますが、通常、製品に異常が発生することは稀で、作業者は作業が忙しくなると決められた通りにデータを取ることが難しい場合も出てきます。しかし、一度クレームが発生すると製造データが頼りとなり、これが無いと製造の正常性を示すことが難しくなってきます。それ故、製造データの取得と管理は製品の品質維持の為になくてはならないデータだということができます。

2.自動データ収集法としてのチャートレコーダー

 古くから使われている自動収集装置はアナログ式です

 工場の製造装置は何らかの制御機で条件が一定に保たれています。その制御機には通常アナログのデータ出力が備わっています。古くは電流制御法で、近年は電圧出力型で製造データが供給されています。

その代表例がチャートレコーダーです。これはチャート祇にペンで記録するもので、大抵は一枚のチャート祇に複数の線で表示する会式を取っています。製造データを自動的に取れる利点はありますが、数値を判読するのに難があり、また、チャート祇を保管する必要もあるので、そnための場所も必要になります。更に、求めるデータを探すのに時間が掛かります。

3.オフライン・データロガーの登場

 データロガーはデータ移し替えに手間が掛かる

  アナログ式データの問題を解決する為に生まれたのがオフライン・データロガーです。この装置は製造装置毎に設置し、装置からデータを吸い上げ、装置内部の記憶媒体に保存するものです。記憶媒体がいっぱいになると製造装置から外し、手動でデータをパソコンに移し替えをします。

4.お客様のご要望「何もしないで製造データを収集、保存、解析ができる装置が欲しい」

 こうしてPDATシリーズ製品が誕生しました

 PDATシリーズは無線を使って離れた場所にある製造装置から製造データを吸い上げ、で夏データを数値に変換して送信し、一台のパソコンに集めて、集めたデータをパソコンのハードディスクに一括保存をするというコンセプトで誕生しました。

パソコンのハードディスクにデータが格納されていることで、その呼び出しや加工がソフトウエアで簡単に行える利点も合わせ持っています。と言っても最小限のハードウエアは必要なので実験装置で得た結果を基に表面実装の電装基板を起こす事で製品の信頼性を高めました。

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PDAT1型開発物語

 まずは実験機で実験開始

 製造工場内で用いられている市販の制御機及びその工程で使われている独自開発の製造装置とは直接接続したことが無い当社は、お客様の了解を得て、実験機を作成して製造装置に接続させていただき、実証実験を開始した。

 左はその実験機の画像です。実験機はユニバーサル基板上に試作回路を再現し、電子部品も全てピッチ2.75mmのものを使用しました。

何故、無線が良いの?

 単に線が無い以上のメリットが無線を使う事で発生する

 無線ネットワークは言わば他から独立した一つの測定ネットワークです。一台のパソコンを中心に測定ネットワークが形成され、パソコンの上を走る制御ソフトウエアがこの測定ネットワークを制御及び管理をします。無線の良いところは測定媒体である測定子機とパソコンの間に接続線が不要と言う以上に利点があります。例えば、測定子機の増減や稼働条件もこの独立した測定ネットワークの中で自由に変えることができます。測定子機を増やす場合は新しい測定子機を無線親機に認識させるだけで済み、配線の変更等はありません。同様に測定子機を減らす場合も無線親機の子機リストから削除する子機を削除するだけで済みます。しかし、何と言っても無線の良いところは測定子機が収集したリアルタイム・データを離れた場所、例えば作業現場に隣接する事務所で見られることです。

工場内のデータリンクに接続する必要はないのですか?

 セキュリティが壁となり工場内LANに接続が難しい

 PDATシリーズでは敢えて取得したデータの保管場所を制御パソコンのハードディスクの中としました。それは工場内のセキュリティと関係があります。通常、どの工場内LANにはセキュリティシステムが稼働しており、外部の製品が工場内LANに入ったり、データを工場外に送ることは厳しく制限されています。反面、工場内のパソコンは工場内LANで結ばれている為、データのやり取りは自由です。そこでPDATシリーズでは製造データの保存先は制御パソコンに限定し、その先は工場内LANに委ねることにしました。

混信やデータの破壊の心配はないですか?

 ディジタル通信により高い通信の信頼性を保っています。

 無線電信や無線電話の時代と異なり、近年のディジタル無線通信は携帯電話の技術やディジタル有線通信と同じ手法を用い通信の信頼性を高めています。混信の場合もデータが壊れていると判定された場合は再送や時間差送信などで混信の影響を提言しています。また、一つの通信に複数の近接する周波数を用いる周波数拡散方式が一般化し、混信に強い無線通信を実現しています。

無線ネットワークが稼働する仕組み

 ここでPDATシリーズでも用いられているディジタル無線ネットワークについてその原理と構成に付いて技術的観点から説明します。

無線ネットワークとは

 特定の無線機の間でのみ情報交換を行う通信方法のことです。

 無線ネットワークとは同じネットワーク番号を持つディジタル無線機の集まりで、同じ周波数を使っていても他の無線ネットワークとは区別されます。通信は同じネットワーク番号を持つディジタル無線機間のみで行われ、異なるネットワーク番号を持つディジタル無線機とは通信を行いません。このネットワーク番号のことをPAN ID(Personal Area Nwtwork Identification)と呼び、通常は2バイトの16進数で表されます。PAN IDを持たないディジタル無線機のPAN IDはFFFFで始まり、ネットワークが構成されると新しいPAN IDに変わります。

 通信方法は1つの親機に複数の子機が集まる「星型」が一般的で、その他にも1対1方式やメッシュネットワーク方式があります。メッシュネットワークとは通信距離にあるディジタル無線機同士がお互いに通信を行い、網(メッシュ)の様な通信網を構成し、データを転送して行く伝送方法です。未知の領域にネットワークを組む場合はメッシュネットワークが有効で、複数の通信経路が確立されている場合が多いので、一部が遮断されても別の経路を通ってデータが転送できます。

 また、ディジタル無線器のネットワーク構成上の種類には中心となる親機(Base)、子機(Remote)の他に中継機(Router)があります。中継機は文字通り親機と子機の距離が遠く、直接通信できない場合に、一度送信内容を受信して、その後に送信する機能を持つ無線機です。中継を行う事で親機と子機が間接的に通信することができるようになります。

ディジタル無線機とは

 音声信号の代わりにデータを送受信する無線機のことです。

 ディジタル無線機とは情報の伝達をディジタル信号で行う無線機のことです。ディジタル信号の変調方法は可聴音を用いてディジタル信号を周波数変調(FSK方式)又は振幅変調(ASK方式)と搬送波の位相を変化させる位相変調(PSK方式)があります。前者はアナログ無線で用いた無線技術が使える為、小規模や遅い通信速度のディジタル無線機には採用されていますが、理論的な構造がシンプルなことと複数のビットを同時に変調できる特性から、大容量を高速で送る無線機には位相変調方式が一般的になっています。

 デジタル無線機は通常、無線送受信を行う無線ICと通信制御を行うマイコンから構成されているものが多く、通信制御はマイコン上を走るソフトウエア(ファームウエアとも言う)が行います。マイコンは通常、ADC(アナログ・ディジタル変換機)、GPIO(ビット入出力器)やPWM(パルス幅変調器)を備えており、これらを使ってセンサーの値を取得したり、制御を行ったりすることができます。

通信以外の機能は

 マイコンと同等の外部インターフェースを具備しています。

 ディジタル無線機に搭載されているマイコンがデータを収集する場合はデータの種類別に次のような方法で測定が行われます。

ADC(アナログ・ディジタル変換機)を用いる場合

 センサーが直流のアナログ値で出力される場合はこの方法を用います。アナログの電圧値を直接数値に変換できるので便利です。分解能は8ビット、10ビット、11ビット、12ビット、16ビットのものがあり、10ビットの場合は1024階調、11ビットの場合は2048階調になります。

ディジタルビット信号を検知する場合

 この場合はGPIOを用います。1ビット毎に1か0で判断します。又は数個のGPIOで数値を表すこともできます。

カウンターを使用する場合

 PWM(パルス幅変調器)はカウンターとして使えます。センサーがパルスで出力する場合は単位時間のパルス数で変化を知る事ができます。例えば、湿度センサーの様に出力が静電容量変化の場合は発振回路を作成し、静電容量変化をパルスに換えて計ることができます。

 

センサーが発するアナログ出力をディジタル信号に変換し、変換されたディジタル信号を用いて再計算を行い、センサー出力と同じ値を算出することができます。

測定シーケンスに用いる方法は

 時間指定による制御が大半を占めます。

 データ収集方法にはイベント反応型、条件反応型、時間管理型等が御座いますが、当社の製品では等間隔測定が主流です。等間隔測定とは事前に設定された時間間隔でデータをとる方法です。この方法(Time Poll方式)でのデータ取得方法を説明致します。

測定時間を検知する

 コンピュータは自身が持つクロック(RTC:Real Time Clock)で次の測定時間が来るのを待ちます。その時間測定精度はクォーツ時計並です。

測定命令の送出

 測定子機Aの測定時間が来るとパソコンは無線親機に「測定子機Aに測定させる」命令を送ります。無線親機は測定に係わる詳細な命令を電波に乗せて、測定子機Aに送ります。

測定命令の受信と測定の実施

 測定命令を受信した測定子機Aは受信した測定命令の詳細に従って、測定を行う。例えば、熱電対の出力の場合はADC0の値を読む。

測定データの返信とパソコンへのデータ転送

 測定子機Aは測定したデータを無線親機に無線で送信し、無線親機は受信したデータをパソコンに送る。

データの変換と校正

 データを受け取ったパソコンは数式を当てはめ、熱電対が示した温度値に再変換して、ディスプレー上に数値やグラフとして表示し、また、HD内に履歴として保存する

 

PDAT1型固有の技術

 PDATシリーズの無線ネットワークがどの様に測定をし、そのでデータを保存するかを順を追って説明します。ここでは設定に関わる内容は省き、毎日の操作のみに絞ります。

手順1: 測定子機の存在の確認

 制御ソフトウエアを立ち上げて行う操作が「子機登録」と言う操作です。この操作は無線親機が測定子機を番号順(ネットワークアドレス順)に呼び出して行き、すべての測定子機が測定の準備にあることを確認します。測定子機が稼働していなかったり、無線親機と通信できない状態にある場合はその状態をパソコン画面に表示し、作業者に確認を促します。これで測定開始時点で測定子機が全て測定ができる状態で測定開始ができます。測定開始後に特定の測定子機に異常が発生し、通信が途切れた場合はパソコン画面に通信エラーが発生していることを示すメッセージが赤字で表示され、ブザーが鳴ります。

手順2: 測定の開始

 測定は「自動測定」のボタンをマウスで選択するだけで開始され、「測定中止」のボタンをマウスで選択する迄継続されます。「自動測定」を再選択すると測定が再開されます。 自動測定中、パソコンは次の処理を行います。

① 測定時間管理: 各測定子機毎に設定された測定間隔に従い、前の測定から測定間隔が経過した時に  無線親機から測定命令を創出します。

② 測定値の受領: 測定子機が測定を行い、返信して来た数値データを変換係数を用いて物理量(例えば、温度(度C))に計算し、パソコン画面に表示します。

③ 測定値の保存: パソコンは測定値回数が2048回毎に測定値と計算値をパソコンのハードディスクに自動的に保存します。保存形式は可読式(ASCII)と2値化式の2つで保存されます。可読式データはテキストエディタで簡単に表示する事が可能です。

 これだけの作業で確実に製造データを自動保存できます。

 データの移し替えの必要も無い上に、作業者をデータ取り作業から解放してくれる装置です。